心因性失声症

 
報告者:菊地 光雄(カイロプラクティック・コンディショニング・ルーム・K

2014.1.27

【はじめに】 失声症とは
失声症(しっせいしょう、Aphonia)とは、主としてストレスや心的外傷などによる心因性の原因から、声を発することができなくなった状態。
一見同じような「発声器官に問題はないのに、ある時を境に喋ることができなくなった」状態でも、脳の言語野への物理的な障害により語彙記憶や言語の意味理解などに困難をきたした「失語症」とは異なる。
臨床心理方面では、場面失語という用語をも使う。(親しい人とは話すのに、ふつうの人とは話せないなど)ラテン語の日本語訳が、学派によっては定着していない可能性がある。

【現代医学の治療方法】 服薬、カウンセリング、原因となった心理的要因の解消(箱庭療法をも含む)、発声訓練

【神経支配】 声帯の運動を支配するのは、第X脳神経である迷走神経(主に副交感神経性線維)の分枝、反回神経である。胸腔内で反回神経を分岐し、これは上行し口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、口蓋舌筋、口蓋咽頭筋、上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋、鰓弓筋等を支配している。
このことは、口でも迷走神経が多くの筋肉を支配し、発話や咽頭を開くことにきわめて重大な役割を担っていることを示す。

【患者情報】 女性 43才 職業 幼稚園教諭
【主訴】 高音がでなくなり歌が唄えない。
約2週間前から歌を唄う時に高音が出にくくなり歌が唄えなくなった。

【病歴】 同様の症状が過去に1度あり、内科、耳鼻咽喉科を受診するが「炎症が起きているからあまり声を出さないように」指導を受ける。
専門医から言われた原因は、アレルギーがあるかもしれない、顎が小さいのが影響している、ストレスが影響しているかもしれない・・
この時点で特定された原因は分からなかったようである。その後2週間くらいして自然に改善する。

【初回検査】 外見=顎が小さい、甲状腺の若干の肥厚あり
自覚症状=声が出ない、いがらっぽい、咳が出る、疲れやすい、ため息が多い。

【初回検査の流れ】 連帯感⇒経絡:右三焦経(園児:一方通行)、左大腸経(同僚:バラバラ)
感情面では連帯感が人(園児と同僚)に陽性を示し、経絡は三焦経と大腸経に陽性
PCRT調整を行う。

【2回目治療の流れ】 右三焦経⇒失望:同僚:期待通りいかない
初回時の経絡を再チェックして三焦経で陽性反応があったので経絡から再度感情面をチェックする。同僚に期待するが期待通り行かず失望感があった。
PCRT調整を行う。

【3回目治療の流れ】 症状チェック:症状確認で50%回復(本人申告)
右胆経⇒排除、閉塞、当惑:パソコン:姿勢
残り50%の症状で治療を行う。
新たに胆経のブロックが見つかり、自宅で閉塞感があり、なんで私がやるの、姿勢が辛いから辞めたい・・PCRT調整をおこなう。

【4回目治療の流れ】 症状チェック:ほぼ100%回復、歌も歌える(本人申告)
左脾経⇒排除:人(Bさんを排除)
左三焦経⇒連帯感:人(Aさん、同じ意見)
症状チェックで自己申告100%であるがPCRT検査では100%ではないので残りの症状ので治療行う。
新たに左脾経:職場のBさんはいないほうが良い、左三焦経:Aさんは私の意見に同意してくれる・・PCRT調整を行う。
全4回の治療で改善される。

【考察】 発声関係の口腔、咽頭に関連する筋肉支配は副交感神経の迷走神経が支配している
慢性的なストレスで交感神経の優位の状態が続くことによって迷走神経の機能低下に口腔、咽頭の発声関係の筋肉が機能低下して引き起こす症状と推測できる。
今回はHRVによる自律神経の測定は行わなかったが、ストレスと自律神経との関係も検査することで、ストレスと心因性失声症との関係が明確になると思われる。
現在のストレス社会では原因不明の心身の症状は増えるばかりであるが、現代医学の病理を見る治療では、心理的機能症状は改善は難しい。
これらの心理的機能症状はPCRTのような「心と体」関係性に目を向けることで社会的貢献は大である。
本研究会の受講生の臨床的症例報告を集積することで社会認知度が高まり、新たな医療の常識ができる。

失声症とは、現代医学の治療方法、神経支配:ウィキペディア引用