おねしょが治らない

 
報告者:会田 成臣(カイロプラクティックオフォスアイダ

 

【患者】 小学校2年生(8歳)。男の子。
過去に大きな病歴やけがはなし。
【症状】 多いときは週に何度も。
小学校2年生になり本人もその問題に対してかなりデリケートになっている様子で、最近ではおねしょをすると母親にわからないよう一人で片づけているとのこと。
母親としてもその様子を見るのが辛くなんとかしてあげたいが、どうしたら良いのかわからず悩んでいる状態。
頻度が多いときは週に何度もということでしたが、先週は少量を1回のみ。
男の子の母親も当院で治療を受けており、4年間ほど悩まされていた症状に前回(1週間前)の治療で改善が見られ、治療後に「息子のおねしょもなんとかなりますか?」とのことで一緒に来院。
PCRTの症例報告や研究でもあるように、母親と子どもには密接な関係があり、母親の感情や抱えている問題、ストレスの情報(エネルギー)に変化が生じ、子どもの症状にも多少の変化が表れたと考える。

【検査】 最初に神経反射検査を使った筋力検査と下肢長検査で、患者にも反射による身体の変化が体感できるようハード面の検査を行う。
おねしょに関しては、デリケートになっている子どもの気持ちを考え、おねしょの治療だという事は本人には伝えないでほしいとのことだったので、本人には症状について一切触れず、術者のイメージでPCRTの言語神経反射を使い検査を行った。

【治療】 <1度目の切り替え>
まず、ハード面の神経のアンバランスを正常に切り替える。
次に本人には告げず、言語神経反射で症状に関する検査を行う。
その結果、おねしょに対する身体の緊張反応が見られたので、さらに検査を行う。
すると経絡に関するエネルギーブロックがあり、そこに潜在的な感情ストレスが関係していることがわかった。
感情には「排除」というキーワードで身体が反応したので、これを影響がでないイメージで経絡と合わせ切り替える。

<2度目の切り替え>
切り替えた後、症状に対する検査を行うと再び反応がでた。
同じ方法で検査すると経絡エネルギーブロックに「充実」という感情で反応。
五感情報での検査の結果、これは学校での図工の授業に関係するものだった。話を聞くと今はそれが学校で一番楽しいとのこと。
「充実」といったプラスの感情でも高まりすぎると、それが自律神経に影響を及ぼすことが最近の研究でわかっている。プラスの感情を敢えて抑えるのは不自然なので、溢れた充実感を友達に分けてあげるようなイメージで経絡と合わせ切り替える。
切り替え後、言語神経反射にて症状の確認を行うとまだ反応がある。

<3度目の切り替え>
これにはセルフイメージが関係していた。
本人は症状のことを長期に渡りかなり気にしていたので、無意識の領域にまで症状のイメージが落とし込まれ、脳が症状を学習記憶していても不思議ではない。
さらに、年齢が高くなるに伴い様々な感情も発達し、やってしまったことを母親にも隠していたようなので、症状や自分、周りに対する感情が学習を強化することに繋がっていたと考える。
今回は本人が認識しないようにセルフイメージを切り替えなくてはならなかったので、母親に協力してもらい代理のイメージで検査を行った。
母親が子どもに接触した状態で、母親におねしょをしてしまった息子と、症状が治った息子の姿をイメージしてもらい検査を行う。
検査の結果上手く反応が切り替わったので、そのイメージで子どもに治療を行った。
その後、言語神経反射を行うが、緊張反応が消えていたのでここで治療は終了となった。

【治療結果】 治療から1週間後に電話を頂き、あれ以来おねしょをしなくなったとの報告をいただいた。
そして、2か月経った現在も一度もすることがないとのことなので、セルフイメージによる学習記憶も上手く切り替わっていると考える。

【考察】 今回の症例のポイントは、母親の症状が先に改善したことにより、おそらくその影響も受けていた子どもが敏感に母親の変化をキャッチし緊張から解放されたということ。母親と術者にラポールが築けたことで、間接的に子どもも術者を信頼し上手く治療に参加してくれたこと。
代理テストによって患者のエネルギーブロックや原因の特定ができることは臨床の結果からも証明されていたが、今回は子どもが症状を認識することなく母親の代理によるセルフイメージが成立し、潜在的に子どもの脳に学習された症状を切り替えることができることもわかった。
言語神経反射や代理テストは一見すると不思議な現象に思われがちだが、母親と子どものように深い信頼関係と密接な情報(エネルギー)のやり取りが行われている関係では、かなりの治療効果が生まれることがわかった。
この関係は母親と子どもに限らず、術者と患者にも当てはまることである。
テクニックを問わず全ての治療に言えることだが、我々は機械を構造的に治しているのではない。感情のある人間を有機的な感覚で捉え、症状に改善へのサポートをしているのである。
症状を完治させるのは最終的には患者自身の力である。だからこそ完治に向かう力を後押ししてくれる「信頼」という強力なエネルギー)を味方につけ、治療効果を最大限に発揮できる関係を創り上げることが何より必要であると感じた。
治療効果が上がると、つい自分の力で治したと勘違いしがちだが、その勘違いこそ信頼という最大の治療効果をブロックすることになるだろう。