スポーツにおけるサイクルパターンによる不調

 
報告者:石田 尚也(ひより整骨院

2023.6.27

【患者】 18歳 女性
高校3年生
弓道部
【主訴】 弓道の通常練習中は調子がいいが、試合が近づいてくると練習中に急に涙がでてきたり、矢が的に当たらなくなる。
試合が近いので、予期不安や調子を改善したい。
【症状】 試合のことを考えると体が緊張する。
弓道イップス?
唐突に不安に駆られて涙が出る。
【施術】 <第⼀回⽬ 2023年5⽉12⽇>
翌日試合があり、練習中今まで当たっていた矢が最近当たらなくなった。
目安検査
① 右手の第1指、第2指陽性
② 試合のイメージで陽性

機能評価チャート
      意識レベル 身体レベル
現在の症状   7      8
メンタル系         9

EB検査
組合せ:ブレインマップ(右前頭前野陽性)
メジャーを右前頭前野とする

調整
認知調整法
▶⼤脳辺縁系 ▶信念1 ▶警戒心
試合で失敗するのではないか

▶信念2 ▶忠誠⼼
みんなのために勝たなければならない

▶⼤脳⽪質系 ▶エピソード記憶
失敗するイメージを上⼿くいっている⾃分にカラー調整

全て陰性化

機能評価チャート再検査
      意識レベル 身体レベル 術後検査
現在の症状   7      8  →  3
メンタル系         9    →  4


<第⼆回⽬ 2023年6⽉9⽇>
前回の施術後の試合では12射中10本を的中
その後の練習中も調⼦が良かったが6⽉11⽇に⾼校総体を控えて、また症状が現れたため来院

目安検査
試合のイメージ陽性
サイクルパターン
① 試合前の練習中のイメージ陽性
② 試合会場への移動中のイメージ陽性
③ 試合中のイメージ陰性

機能評価チャート
      意識レベル 身体レベル
現在の症状   7      8
メンタル系   8      9

EB検査
組合せ:ブレインマップ(右前頭前野)

調整
▶⼤脳辺縁系 ▶信念2 ▶団結⼼
みんなと⼀緒に決勝に⾏く
▶信念2 ▶競争⼼
⾃分との競争⼼
▶⼤脳⽪質系 ▶エピソード記憶
失敗するイメージを前回上⼿くいった⾃分にカラー調整

右前頭前野での陰性を確認後、試合のイメージ、サイクルパターンでの陽性反応の陰性化を確認

機能評価チャート再検査
      意識レベル 身体レベル 術後検査
現在の症状   7      8  →  2
⾃律神経系         9  →  3

試合後LINEにて連絡が来て、本⼈は4本中3本を的中
団体戦では敗退したものの、団体戦での好成績により個⼈での準決勝進出が決まる。
準決勝では4本中2本の的中したが、そこで敗退が決まる。
本⼈は引退試合で⼀応悔いが残らない結果と報告してくれた。

【考察】 今回のような学⽣が試合の時に緊張するなどの症状は⽐較的多く⾒られる症例だと思われる。

試合中は⽐較的問題はないが、練習中や会場に向かう途中での予期不安によって悩むパターンも多いのではないかと思う。スポーツの場合、すべてのシーンで症状が起こるわけではないため、サイクルパターンでどのシーンで症状が起こるかをきちんと把握することも⼤切であると考える。

分類的には元々実⼒のある選⼿なので、特定の場⾯にのみ症状が現れることからイップスと⾔えないこともないのではないだろうか。

スポーツの場合、訴える症状やプレーが技術的に出来ないことなのか、イップスのように特定の場⾯で誤作動が起こり出来なくなってしまうのかを判断する、または検査によって明らかにすることが重要だと思う。