クローン病

 
報告者:土子 勝成(つちこカイロプラクティック

 

【Wikipedia】 クローン病(クローンびょう、英:Crohn's disease、CD)は、主として口腔から肛門までの全消化管に、非連続性の慢性肉芽腫性炎症を生じる原因不明の炎症性疾患。厚生労働省より特定疾患に指定されている。

【問診】 61歳 男性 会社員
【患者】 30年前に専門医によりクローン病と診断された男性です。来院時は、クローン病を治すために来られたわけではありませんでした。朝方の腹痛と下痢症状をどうにかして欲しいとの事でした。
男性の腹痛は、朝4時頃になると腹痛で目が覚め、トイレに行くの日々でした。そのため睡眠がよくありませんでした。そして下痢症状は、朝会社に行く前や、営業で会社を出る時には必ずと言っていいほど下痢になるそうです。そのため、仕事先でもトイレの場所を探す始末になっているとの事でした。
現在、腹痛になると抗生物質で良くなるのですが、薬をやめると下痢症状は特にひどくなるそうです。

【検査】 腹痛の場所は左下腹部のS状結腸付近でした。S状結腸とは、肛門に近い出口付近です。
腹部に対してマーフィーパンチと言って、軽い打診をしましたが問題はありませんでした。仮に問題があった場合は、炎症を疑い病院へ行ってもらいます。(例えると盲腸や腸内の炎症の場合です)
体の動きでの腹痛はありませんでした。もし動きで腹痛に変化がある場合は、筋肉や筋膜の異常を疑い治療すればすぐに良くなるケースがあるのです。(男性は違いました)

【治療に対して】 男性には初回から心身条件反射療法を行いました。通常、初めての患者さんには、やりづらいのが心身条件反射療法なのです。と言いますのは、下痢を治して欲しいと来られた患者さんに下痢をイメージしてもらい、切り替える治療をします。つまり、脳に刺激を与えるのです。ところが患者さんとしては「下痢なんだからお腹をみて欲しい」と思うのが一般的です。しかし、当オフィスとしては、ストレスが下痢になっていると疑っていますので、脳にその原因があるのではないかと考えているのです。そのため下痢をイメージしてもらい、どのようなストレスが関係しているか患者さんの納得の上で調べました。

【心身条件反射療法の施術効果】 患者さんにストレスや緊張するイメージをしてもらいながら、深呼吸と共に丹田に振動刺激を行う施術です。効果として、症状に直結する記憶を、直結しない記憶に再学習することで、症状を引き起こす「くせ」を切り替える事が出来ます。

【下痢症状に対して10回ほどちりょうしました】 男性自身のストレスは、仕事や部下に対するイライラや、様々な事が思い通りにならないというストレスが大きく関わっていました。これらを切り替えて体になじませる治療を行いました。すると、10回の治療で下痢症状は改善しました。そのため、男性は営業で外出する時もトイレを探さなくて良くなりかなり喜ばれました。

【さらに17回腹痛を治療しました】 男性の腹痛にはクローン病であるという診断が大きく関わっていました。そこには「自分はクローン病だから治らない」や「元々お腹は弱い体質」、という自分の治癒力を信じられない要素がストレスとなっていました。この思い込みはご自身の治癒力を低下させるだけなのです。そこで、これらの思い込みを少しずつ切り替える治療をしました。元々30年間という長期間患っていたクローン病ですから、そう簡単にはいきませんが、トータル27回の治療で、朝の腹痛は良くなりました。このことにより、睡眠を上手に取れるようになり、朝の時間を有効に使えると喜んで頂きました。

【考察】 クローン病という診断名は、医学的には正しいのかも知れませんが、患者には呪縛のように絡みつき、食事の制限、外出制限、行動制限と制限要素が大きく治癒力の発揮をしづらい環境にしていたように見えました。ある意味、クローン病という診断名が患者にストレスになっていたかも知れません。30年間という患者の呪縛を取り除くのは非常に難しかったのですが、根気よく少しずつ取り除く事により、自分の治癒力を信じられるようになった事が症状の改善へとつながったと考えられます。