第68回中級2 2019.9.8-9

 
<開催日>    2019年9月8日~9日
<開催場所> 東京都港区浜松町1丁目26-1 味覚糖UHA館
<参加者20名(初受講2名)>
<実技試験受験者1名>

【症状別テーマ】

    • 食物アレルギーの調整法
    • 花粉症、皮膚症状の調整法
    • パニック障害の調整法
    • 過去のトラウマ調整法
    • 交通事故によるトラウマの調整法

 
■ 学習内容

    • 生体反応検査法の復習
    • 三層構造ポイントEB特定法
    • 五感チャートの応用
    • 大脳辺縁系調整の応用

 
■ ソフト面調整法のモジュール3

    • 脳幹脊髄系調整の基本プロトコル
    • 大脳皮質系調整の基本プロトコル
    • 「意味記憶(意味づけ・思い込み)」
    • 「エピソード記憶(映像記憶)」
    • 意念調整法の応用

 
中級2の学びのポイント

    • 食物アレルギー、花粉症、皮膚症状などのアレルギー関連の調整法を学びます。
    • パニック障害、交通事故によるトラウマなどのメンタル系の調整法を学びます。
    • 慢性症状に深く関連する「意味記憶(意味づけ・思い込み)」「エピソード記憶(映像記憶)」の調整法と意念調整法の応用をご紹介します。

 

■講義
今回は台風の影響で交通機関の乱れが予想されましたが、開始時刻には乱れもありませんでした。参加者全員が定刻の時間に揃い、菊地の司会進行で予定時間に開始しました。
最初は事務局の吉田さんよりインフォメーションがあり、続いて保井先生から前回までの基礎1.2と中級1の内容や臨床上の問題、疑問についての質疑応答がありました。
その後、菊地よりPCRTの全体像と総論、目安検査表と機能評価チャート、患者教育など基本的な事を説明しました。
 

 
◆PRT&システム思考
保井先生より生体反応検査法(PRT)の復習のデモに続きPRTワークを行いました。基本のPRTはPCRTの大切な部分で、PRTができるかできないかで検査の評価が違ってきます。毎回PRTワークを最初に復習し受講生の技術的な部分の再チェックをします
PRTワーク後はシステム思考のPRTの説明がありました。機械論と有機論の違いやPCRTの特徴でもある関係性からのアプローチは、複合的でもあり複数のEBを一つ一つ開放していく場合もあるという説明は術者のアート的な要素を求められる所でもあります。
 
◆五感適応系
五感チャートの応用の講義は土子先生からありました。脳幹脊髄系(五感適応系)のチャートの説明と使い方、視覚、聴覚、身体感覚、味覚、嗅覚の情報説明から詳細チャートを使って、特定の仕方などの説明がありました。
講義の後に、保井先生の五感適応系のデモがありました。鼻炎の症状のある受講生が患者になり治療をしました。このデモは受講生にとって臨床上どのように治療を進めていくのか、大変勉強になったと思います。デモの後は5つのグループに分かれて五感適応系のワークを行いました。
 
◆アレルギー系
次に、国井先生よりアレルギー治療の概念、アレルギー治療の基本の講義がありました。ストレスと花粉症の講義は興味のある内容でした。チャートを使ってアレルゲンを特定する方法も、初受講生には面白い内容だったと思います。
代表的なアレルギー症状の食物アレルギー、花粉症、皮膚症状の調整法を実際に症状のある受講生を、保井先生がデモで調整しました。現代医学のアレルゲンを原因とする考え方と、PCRTのアレルゲンと脳の三層構造との関係性から、システム的に行う治療の違いがデモを見ることで明確になったと思います。
 
◆マインド系
ソフト面の講義は野間先生からありました。ソフト面検査の応用、4つのマインド設定、「さらに」と「ほかに」、ゴールデンルール、メンタル調整の説明がありました。質問の掘り下げ方やマインド系領域を施術する際に術者のゴールデンルールなどソフト面の施術を行う上で大切な内容でした。
ソフト面のデモは保井先生よって行われました。キーワードで思いつかないとき、メンタル系調整後の説明などデモを通して、より臨床的な施術の進め方を見ることができました。
 
◆実技試験
一日目の講義の終了後に実技試験が行われました。今回の受験者は一名でしたが、受験者の準備不足で試験を受けずに終了しました。試験官も試験には準備して採点しますので、受験者も試験に臨むときはそれなりの準備をして臨んでほしいと思います。次回を期待します。
 
■二日目講義
台風の影響で交通機関が大きく乱れ数名の参加者が遅れていましたが、定刻になり講義を開始しました。前日の講義、ワークの質疑応答から始まりました。
 
◆大脳皮質系
講義は大脳皮質系から始まり、意味記憶、エピソード記憶総論、調整法を土子先生、國井先生、保井先生からの講義がありました。慢性的な症状は現場の痛みでは無く、脳で作られた痛みである。一般的な情報や、医療情報などによる思い込みなどが脳の誤作動を引き起こしている説明は、興味深いものがありました。
野間先生から「肯定的な意図」の意味記憶、意味記憶の理解を深めるための講義があり、患者への説明の仕方、「肯定的な意図」を行うタイミングや注意点の説明がありました。また、アドラー心理学からの説明も心に残る話でした。
保井先生の大脳皮質系のデモは、数年間左肩の挙上ができない慢性的な痛みを抱えた受講生を意味記憶や肯定的な意図からのアプローチで術後は嘘のように左肩の挙上が瞬時にして改善し、周りで見ていた受講生やスタッフも驚いていました。改めてPCRTのパワフルさを再認識したデモでした。
 
◆三層構造ポイント
最後は菊地による三層構造ポイントによる目安検査を、臨床上で使うタイミングやポイントについて説明しました。回数の浅い患者に三層構造のポイントを使って実際に陽性、陰性反応を体験して共有して信頼関係を深めます。
 
◆小テスト
小テストでは100点が4名いました。セミナー講義内容からの出題ですので、100点の受講生は講義内容をよく理解されたようです。もちろん、他の受講生も高得点で内容は理解されたようです。100点満点の受講生にはLCAよりチャートが贈られました。
 
◆症例報告
症例報告は、田中翔大先生による「キャッチャーの投球イップス」というテーマで発表がありました。症状は、キャッチャーがピッチャーにボールを返球する際に、ワンバンドになったり届かなかったりする症状です。患者さんの話から「キャッチャーは必ずピッチャーの上半身にボールを返球する」ということを「お父さんから指導を受けながら練習をしてきた」という言葉が、学習記憶として誤作動を招いた症例でした。投球イップスやゴルフイップスなどスポーツ関係のイップスは多く、一般的な施術では改善が困難な症状でも、PCRTによるイップス治療の一成功例を報告して頂きました。田中翔太先生にはLCAより記念品が贈られました。症例報告ありがとうございました。
 
◆総合選択ワーク 
総合選択ワークはPRT、アレルギー治療、大脳辺縁系の3つのグループに分かれて、約30分行われました。2回目は、大脳辺縁系が大脳皮質系になり、それぞれ学びたいグループに分かれて、患者、施術者、オブザーバーに分かれて実技を行い、それぞれフィードバックして、学びを深めていました。
各グループにはインストラクターが付きますが、質問があったり、手間取ったりした場合のみアドバイスする形をとっています。LCAのセミナーは受講生同士が教え合い、学びあうようにチーム学習を基本としています。

 
受講生の施術体験とPCRTセミナー受講の感想
 

  • 今回初めて「意念検査」という概念を教わったので治療の始まりから終わりまで一つ一つ丁寧に忘れずに患者の心身にたずねていきたいと思います
  • 心がすっきりとして清々しい気持ちになりました
  • 自分の無意識を言葉で認識すると体がスッキリする感覚になりました
  • なぜこの治療が効果があるのかを新しくPCRTを導入する患者さんに簡潔に説明して、多くの方に貢献したい
  • 自分では意識していない記憶のつながりが誤作動のスイッチを入れることに気づくことができた
  • 難治性の慢性的な症状に対して、いかに有効である
  • 自分でも意図していないメンタル面の関与がびっくり。心身相関の考え方の重要性を改めて思い知りました。
  • とてもパワフルで自分自身がPCRTで良くなると信じているのでアレルギー症状も良くなっているので、患者さんにもPCRTの良さを知ってもらってたくさんの方に良くなって頂きたいと思います
  • 声のかけ方、治療の流れが今回とても良く理解出来たので、自分の固定概念にとらわれず患者さんの意識も人それぞれ違う事を十分に理解して治療を進めていく

 

 
■  総評
今回は、台風の影響で交通機関の乱れを心配していましたが、開始時は影響が無く参加者全員がそろって開催ができました。翌日は影響が出て、開始時間までに数名の方が遅刻をしましたが、二日間とも内容の濃い講義とワークで学習できたと思います。
特に、今回はアレルギーやトラウマなど、心身相関的な視点からのソフト面の施術があり、施術者と患者の関係性が重要になります。
スタッフもそのあたりを丁寧に伝えたと思いますが、臨床でも大切にしていく事で効果も高まると思います。受講生の皆さんありがとうございました。
 

(文責:心身条件反射療法セミナースタッフ 菊地 光雄)