ゴルフによる右肘痛(ゴルファーズエルボー)
報告者:土子 勝成(つちこカイロプラクティック、ゴルファーズクリニック)
2010.2
| 【患者】 | 22歳、男性 |
| 【問診】 | ゴルフ歴10数年、HC15(ハンディーキャップ15)で、年間30ラウンドほどのゴルファーが右肘痛を訴えて来院されました。 約9年前から右肘痛はあり整形外科や整体などを受診しましたが、ゴルファーズエルボーといわれるのみで症状に変化はありませんでした。(腰痛もありましたが今回は、右肘痛についてのみレポートします) 右肘の痛みはゴルフ練習後に現れることが多く、最近はラウンド中にも痛みだすことがあるそうです。そのためテーピングで前腕の付け根(近位橈尺関節)を固定するか、もしくは肘バンドをつけてラウンドしていました。バンドにより痛みは軽減します。しかし、不思議なことにゴルフ練習中は痛まないとのことでした。 日常においては、仕事で得意先に行く時に、パソコンを入れた重いバックを持ち歩くため、そのバックを右手で持つと右肘痛になるとのことでした。 |
| 【検査】 | 右前腕の外旋筋群の筋力検査で痛みあり 右前腕の伸筋群の筋力検査で痛みあり ゴルフの素振りでの違和感あり |
| 【治療】 | 初診時は、アクティベータ治療のみで筋力検査の痛みは消失しました。素振りでの違和感も軽減しました。 その後数回は腰痛治療を行いました。そして、再びラウンド中に痛みが現れたため肘の治療を再開しました。 このとき腰痛では行っていたニューロ・パターン・セラピー(心身条件反射療法)を肘痛でも行ってみたのですが、患者さんは肘痛は関係ないのではと訴えていました。 しかし、練習中にはおこらない痛みが、プレー中のみに現れるのは緊張状態が原因ではないかと説明し、ニューロ・パターン・セラピーを行いました。 |
| 【制限要素】 | バックスイングで右肘を離さないようにし、左肩をアゴの下まで入れて、体をねじるイメージに対し緊張反応が現れました。 ↓(切り替え) ナイスショットをリズミカルな擬音にしました。シューバーン 仕事関係で反応がありましたが、男性は仕事ではストレスはないから大丈夫とのことで、それ以上治療を進めませんでした。 その後も、ゴルファーズエルボーとメンタルとの関係を理解できず、治療を思うように進めることが出来ませんでした。 ある日、ゴルフの練習後に右肘痛が悪化し、そのまま来院されました。 そのとき、緊張反応を取るために、だまされたと思ってイメージして下さい。もし、ダメだったらパチパチして痛み取りますからと言ってニューロ・パターン・セラピーの治療の了解を得ました。 すると、自分を責める→何をやっているのだろう ↓(切り替え) こちらは内容を聞かず自分なりに切り変えていただきました 仕事の上司で①番目と②番目にイメージした方に対するストレス ↓(切り替え) こちらは内容を聞かず自分なりに切り変えていただきました 思い通りにならない仕事→その理由 ↓(切り替え) こちらは内容を聞かず自分なりに切り変えていただきました 自分自身の仕事に対する後悔→こだわり ↓(切り替え) このこだわりがあるからこそちゃんとした仕事が出来る ここまで切り変えて、かなり反応が出なくなりましたので、左肘痛をチェックすると、痛みはかなり治まっていました。このことにより、男性もイメージを切り変えただけで痛みに変化があることを理解してくれました。 このことがあってからは、スムーズに治療に入れるようになりました。 更なる切り替えは 重いバックを持っていると体がゆがむ ↓(切り替え) トレーニングになる お客さんを見て、ストレスを感じる ↓(切り替え) 大企業に勤められる喜び ゴルフでは 左に突っ込まない、右肩を出さない ↓(切り替え) 右足の前で打つイメージ(成功イメージ) 仕事に対する責任 ↓ 責任感の強い自分でよかった |
| 【結果】 | ここまでの切り替えを行い、右肘痛は消失しました。その後、再発もしていません。 右肘の治療には8回の治療を要しましたが、最初の3回は、治療に入ること自体が難しかったため、その後の5回が実質的な治療でした。 |
| 【考察】 | 始めはこのニューロ・パターン・セラピー治療に対する不信感があり、ラポールを築くのが難しい症例でした。 しかし、痛みの消失を実際に体感していただき、納得をしていただけたことが効果を生む結果となりました。 今回も、患者さんの柔軟な脳と、治そうという前向きな思いが治療効果を上げたのだと思います。 こちら側も更に受け入れやすい説明力を身につけることが必要であると感じたケースでした。 |