8年間繰り返すぎっくり腰とトラウマ
症例テーマ:
●8年間繰り返すぎっくり腰とトラウマ
報告者情報:
●氏名:原宏樹
●施術歴:3年
●PCRT歴:2年
●施術院名:はらカイロプラクティックセンター
●初診年月日:2024年1月24日
●報告期日・2024年9月4日
症例要約:
| 結果判断: 完治 or 未完治 |
完治 |
| 治療期間: | 2024年1月24日〜2024年2月20日 |
| 通院回数: | 6回 |
| 一回の治療期間 | 45分以内 |
| 治療経過の良し悪し: | 6回の施術で改善し経過良好 |
治療回数毎のスケール表
| 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 5回目 | |
| 症状の程度 | 5 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 |
| 予期不安 | 8 | 6 | 6 | 4 | 3 | 1 |
| CGI-I(初回と比較した改善の程度) | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 | |
| CGI-S(初回の症状の程度) | 4 | ←初回時のみ入力 | ||||
はじめに:
一年ほど前にぎっくり腰で初来院され、メンテナンスで通われている患者。
2日前に子供を抱っこしたことにより腰痛が再発。
今回の腰痛はハード面の調整で改善されたが、ぎっくり腰を定期的に繰り返すことや以前から子供をお風呂に入れる際に腰が抜けそうになることがあるとのことでPCRTで治療することとなった。
患者の愁訴:
●8年前から繰り返すぎっくり腰
●娘をお風呂に入れる際に腰が抜けそうになる
患者情報:
●年齢:40歳 女性
●家族構成:夫、娘(4歳)
●職業:専業主婦
●一年前にぎっくり腰で初来院し、今回の腰痛が起こるまではメンテナンスで月一回通われていた。
●メンテナンスで通われている間にも過去2回ぎっくり腰をされている。
●ご主人も紹介により通院されている。
発症からの経緯:
2日前に子供を抱っこしようとした際に腰を痛めた。
椅子からの立ち上がり時に特に痛みが強く出る状態が続いている。
初回〜通院施術回数毎の記録:
初回:R6年1月24日
目安検査:
●一般的検査(現代医療の検査法)
- ・可動域制限:腰部屈曲、伸展
- ・圧痛:脊柱起立筋、腰方形筋、中殿筋
症状の数値化
| 症状の程度(0〜10) | 5/10 |
| 予期不安(0〜10) | 8/10 |
| CGI-I(改善の程度:1〜7) | |
| CGI-S(初診時の重症度:1〜7) | 4/7 |
●PCRT目安検査
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:下肢軸左右(軟骨系、靭帯系)、骨盤左右回旋 | ○ | |
| 腰痛イメージ | ○ | |
| 椅子からの立ち上がりイメージ | ○ |
●EB検査:
| 身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
| 仙骨骨系、L5骨系(タッピング刺激) | ○ | |
| L5/S椎間板線維輪(圧迫刺激) | ○ | |
| L4/5前縦靭帯(牽引刺激) | ○ |
ハード面調整法
・AMベイシック
・SOTカテゴリーⅢ
ソフト面調整法:なし
目安検査の再評価結果
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:全て | ○ | |
| 腰痛イメージ | ○ | |
| 椅子からの立ち上がりイメージ | ○ |
2回目:3日後来院 R6年1月27日
患者コメント(愁訴)
前回の治療後から痛みが楽になり動きやすくなったが、椅子からの立ち上がり時にまだ痛みが残る。
症状の数値化
| 症状の程度(0〜10) | 3/10 |
| 予期不安(0〜10) | 6/10 |
| CGI-I(改善の程度:1〜7) | 3/7 |
| CGI-S(初診時の重症度:1〜7) | 4/7 |
●PCRT目安検査
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:下肢軸左右(軟骨系)、骨盤右回旋 | ○ | |
| 腰痛イメージ | ○ | |
| 椅子からの立ち上がりイメージ | ○ |
●EB検査
| 身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
| 仙骨骨系(タッピング刺激)+第2チャクラ | ○ | |
| L5/S椎間板線維輪(圧迫刺激) | ○ |
ハード面調整法
・AMベイシック
・意念調整法
ソフト面調整法:なし
目安検査の再評価結果
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:全て | ○ | |
| 腰痛イメージ | ○ | |
| 椅子からの立ち上がりイメージ | ○ |
3回目:3日後来院 R6年1月30日
患者コメント(愁訴)
前回の治療後から痛みを感じることがなかった。椅子からの立ち上がりも問題ない。
今回の腰痛以前から娘をお風呂に入れる際に、度々腰が抜けそうな感覚が起こることがあり気になっている。
症状の数値化
| 症状の程度(0〜10) | 2/10 |
| 予期不安(0〜10) | 6/10 |
| CGI-I(改善の程度:1〜7) | 1/7 |
| CGI-S(初診時の重症度:1〜7) | 4/7 |
●PCRT目安検査
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:骨盤左回旋 | ○ | |
| 腰痛イメージ | ○ | |
| 椅子からの立ち上がりイメージ | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
●EB検査
| 身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
| L5骨系(タッピング刺激) | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ(情報系) L4/5前縦靭帯 |
○ |
ハード面調整法
・AMベイシック
・意念調整法
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
補足説明:
「反応言語」とは、PCRT認知調整法の検査で用いる辺縁系領域に関連する言語チャートからPRT(生体反応検査表)によって陽性反応が示された言語である。臨床では「キーワード」と呼ぶことが多い。
| 情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ L4/5前縦靭帯 |
恐怖 | 身体を痛めると子供を守ることができない。 |
陰性化 |
| 同上 | 自省心 | 夫に自分の本心を伝えることができない。遠慮してしまう。 | 陰性化 |
・目安検査の再評価結果
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:全て | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
4回目:7日後来院 R6年2月6日
患者コメント(愁訴)
腰の痛みはない。
娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになる感覚の頻度は減ったがまだ起こる。
症状の数値化
| 症状の程度(0〜10) | 2/10 |
| 予期不安(0〜10) | 4/10 |
| CGI-I(改善の程度:1〜7) | 3/7 |
| CGI-S(初診時の重症度:1〜7) | 4/7 |
PCRT目安検査
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:下肢軸右(関節系) | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
ハード面調整法
・AMベイシック
・意念調整法
ソフト面調整法 PCRT認知調整法
| 情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ L5/S前縦靭帯 |
警戒心 | 娘から愛してもらえなくなるのではないかと警戒。 理由は? 自分が両親から愛されていなかった。 両親からのネグレクトにより、中学生になるころから祖父母に引き取られて育った経験から。 |
陰性化 |
| 同上 | 恐怖 | 叔父に対しての恐怖 中学生の時、祖父母と叔父と生活していて叔父から暴力を振るわれていた。 |
陰性化 |
目安検査の再評価結果
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:下肢軸右(関節系) | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ |
○ |
特記すべきコメント:
PCRT認知調整法で調整後、涙を流されていた。
治療後、15分間ホットパックをしていただいている間に色々忘れていた過去の出来事や感情を思い出すことができ、頭の中が整理されてスッキリしたと喜んで頂いた。
5回目:7日後来院 R6年2月13日
患者コメント(愁訴)
この一週間は、娘をお風呂に入れる際の腰が抜けるような感覚が起こらなかったが、まだ不安はある。
症状の数値化
| 症状の程度(0〜10) | 1/10 |
| 予期不安(0〜10) | 3/10 |
| CGI-I(改善の程度:1〜7) | 2/7 |
| CGI-S(初診時の重症度:1〜7) | 4/7 |
PCRT目安検査
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:全て陰性 | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
ハード面調整法
・AMベイシック
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
| 身体系EB エネルギー系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ(情報系) L5骨系 |
復讐心 | 父親に対しての復讐心。 自分を守ってくれなかった。 |
陰性化 |
| 同上 |
猜疑心 | 娘が自分から離れていってしまうのではないかを疑っている。 理由は? 自分が父親から愛されていなかったから。 |
陰性化 |
ソフト面調整法
PCRT認知調整法(大脳皮質系)
| エピソード記憶 EB 内容 | 調整前 | 調整 | 調整後 | ||
| 陽性 | 陰性 | 陽性 | 陰性 | ||
| 頭痛があり薬を服用している自分の姿 | ○ | カラーチェンジ (ベージュ) |
○ | ||
| 頭痛がなく快適に生活がおくれている自分の姿 | ○ | カラーチェンジ (水色に切り替え調整) |
○ | ||
目安検査の再評価結果
| 陽性 | 陰性 | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
6回目:7日後来院 R6年2月20日
患者コメント(愁訴)
娘をお風呂に入れる際の腰が抜けるような感覚が起こらなかった。
腰が気にならなくなった。
症状の数値化
| 症状の程度(0〜10) | 1/10 |
| 予期不安(0〜10) | 1/10 |
| CGI-I(改善の程度:1〜7) | 1/7 |
| CGI-S(初診時の重症度:1〜7) | 4/7 |
●PCRT目安検査
| 陽性 | 陰性 | |
| 基本バランス:全て陰性 | ○ | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
●EB検査:
| 身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
ハード面調整法
AMベイシック
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
| 情報系EB 身体EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | 猜疑心 | 父親は自分より妹の方が可愛いのではないのかという疑い。 理由は? 自分だけ祖父母に預けられたから。 |
陰性化 |
| 同上 | 同上 | 自分も娘に対して両親と同じようにネグレクトをしてしまうのではないのかという疑い。 理由は? 一般論的にネグレクトを受けた子供は、自分の子供にも同じようにしてしまう。 |
陰性化 |
| 同上 | エピソード記憶 | カラー: 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになる自分(赤) →娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうにならない自分(青) |
陰性化 |
目安検査の再評価結果
| 陽性 | 陰性 | |
| 娘をお風呂に入れる際の腰が抜けそうになるイメージ | ○ |
6回目以降:
これまで通り月一回のメンテナンスで現在も通院されていて、現在も症状は落ち着いている。
考察:
今回の症例は、患者は幼少期からの家庭環境や両親からのネグレクトなどのトラウマがあり、娘と接する度に無意識的に『娘に対して自分も虐待をしてしまうのではないのか』『家族が自分から離れていってしまうのではないのか』などの不安や恐れが、脳の誤作動を引き起こし腰の不調につながったと考えられる。
また、今回PCRTを受けるまでは過去のトラウマについて無意識的にシャットアウトしていたことが更に脳の誤作動を複雑化していたと考察する。
当院へ通われるようになり約一年が経っていた患者で、その間にご主人を紹介してくださったりとある程度、信頼関係が構築できていたことがPCRTをスムーズに受け入れてもらえたのではないかと思う。
この経験から患者との信頼関係を構築の重要性を再認識することができた。
今後も、多くの患者にPCRTで喜んで頂けるよう信頼関係構築はもちろん技術面や知識を日々ブラッシュアップしていき実践していきたいと思う。