楽器演奏イップス(サックス)

 
症例テーマ:
●楽器演奏イップス(サックス)
 
報告者情報:
●⽒名: 谷井昌幸
●臨床歴(開業歴):25年
●PCRT 歴: 3年
●施術院名:谷井治療室
●報告期⽇:2025年2月8日
 
症例要約:
 

結果判断:
完治 or 未完治
未完治
治療期間: 2024年4月1日〜2024年9月2日
通院回数: 13回
一回の治療期間 40分
治療経過の良し悪し: 良好

 
治療回数毎のスケール表:
 
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目
症状の程度(イップス全体) 10 9 2 3 4 4 5 4 4
症状に対する予期不安 10  9  8 7  5   5 5 
CGI-I(初回と比較した改善の程度)  
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) ←初回時のみ入力

 
  10回目 11回目 12回目 13回目
症状の程度(イップス全体) 4 4 4 4
症状に対する
予期不安
 4  4  3  1
CGI-I(初回と比較した改善の程度)  3 3 3
CGI-S(初回のイップスの症状の程度)    

 
はじめに:
陸上自衛隊音楽隊サックス奏者
 
患者の愁訴:
サックス演奏時、右手中指と薬指の不随意運動が出てしまう。
中指が浮き上がり、薬指は上がってこない状態で、修正しようとすると力が入ってしまう症状
 
患者情報:
●年齢:31歳
●性別: 男性
●職業:陸上自衛隊音楽隊
●種⽬:サックス
●演奏歴: 13年
●演奏レベル:職業奏者
●患者の特徴(簡単に):努力型で自分を追い詰める性格
●発症時期:2年半前から発症
 
発症からの経緯:
過度なハードルを自分に課した結果、2年半前から発症。これを改善させようとさらに練習量を増やした結果、症状が悪化
 
治療経過の要約:
症状が5割以上改善し演奏に支障が無くなる

特記事項:
プロの奏者で、トップというポジションのため演奏ミスが目立ってしまう

 
 
<初回〜通院施術回数毎の記録>
 
初回: 2024年4月1日
 
【患者のコメント(愁訴)】
演奏時、右手中指、薬指と前腕部に過剰な緊張が生じる
 
目安検査:前腕筋群と手掌筋群の押圧➡サックスを実際に演奏(陽性)
・ハード面調整法:AMベイシック
ソフト面調整法:PCRT認知調整法演奏イメージ(陽性)
反応部位:右手指伸筋群
反応言語:義務
内容:トップポジションで自分の演奏が目立つため、ミスが許されない。毎日楽器に触っていないと演奏技術が維持できないとの観念。練習のやりすぎ。
調 整 後:陰性化
目安検査の再評価結果:前腕筋群と手掌筋群の圧痛軽減、サックスの演奏(陰性)

 
 
2 回⽬(3 ⽇後来院、2024年4月5日)

【患者のコメント(愁訴)】
本人の主観として初回からの変化は感じられない
 
・目安検査前腕筋群と手掌筋群の押圧➡サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法AMベイシック
ソフト面調整法PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:右手中指屈筋
反応言語:重要感
内容:仕事上の資格試験に関わる問題
調整後陰性化
目安検査の再評価結果:前腕筋群と手掌筋群の圧痛軽減、サックスの演奏(陰性)

 
 
3回⽬(4⽇後来院、2024年4月9日)

【患者のコメント(愁訴)】
演奏時の前腕や指の過剰な緊張が3割軽減
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法:PCRT認知調整法演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群
反応言語:虚栄心
内容:友人関係
反応言語:復讐心
内容:自分
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
4回⽬(3⽇後来院、2024年4月12日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
前回同様、演奏時の前腕や指の過剰な緊張が軽減した部分はあるが、練習時間が長くなると症状が強くなる
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群
反応言語:慈悲心
内容:仕事関係
反応部位:虫様筋(中指、薬指)
反応言語:忠誠心
内容:仕事関係
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
5回⽬(6⽇後来院、2024年4月18日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
腕や手指の過緊張が少し和らぐも、演奏中は症状が出てしまう
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群
反応言語:愛情
内容:息子として
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
6回⽬(7⽇後来院、2024年4月25日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
前回と変わらない
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法:PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群
反応言語:復讐心
内容:自分
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
7回⽬(7⽇後来院、2024年5月2日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
前回と変わらない
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群
エピソード記憶:演奏イメージ
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
8回⽬(11⽇後来院、2024年5月13日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
治療後の楽な状態が、日数の経過とともに元に戻ってしまう
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法演奏イメージ(陽性)
反応部位:中指の虫様筋
反応言語:忠誠心
内容:仕事
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
9回⽬(14⽇後来院、2024年5月27日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
前回と同様 
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群
反応言語:愛情
内容:趣味(忙しく映画鑑賞ができていない)
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
10回⽬(15⽇後来院、2024年6月11日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
演奏がうまくいっているときは腕や手指に力が入っていないと気づく
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:前腕伸筋群➡エピソード記憶(演奏イメージ)
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
11回⽬(31⽇後来院、2024年7月12日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
脱力しても演奏することができるようになった 
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:中指基節骨
反応言語:挑戦
内容:仕事…札幌コンサートホールKitara(キタラ)にて、大きな演奏会があり技術的に難しい演奏が控えている。
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
12回⽬(27⽇後来院、2024年8月8日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
力まず演奏ができるようになる
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
反応部位:中指基節骨
反応言語:執着
内容:仕事…新任の上司との関係で、上司に仕事を教えなければいけないが、上司が不真面目で仕事を覚えようとしないので指導法に自分の時間がとられてしまい、自分自身の仕事が進まない。
調整後:陰性化
 目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)

 
 
13回⽬(35⽇後来院、2024年9月12日)
 
【患者のコメント(愁訴)】
「今できることをやればよい」との気づきを得る。前回施術後からの症状の改善がさらに進み、患者自身の主観でもNRSが4.5で安定し、それ以上悪化することが無くなる。
また、楽器を持った時のフィーリングが良くなったとのことです。
 
目安検査:サックスを実際に演奏(陽性)
ハード面調整法:AMベイシック+アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法➡演奏イメージ(陽性)
          拇指と薬指のOリング(陽性)
反応部位:(深指屈筋と虫様筋)
反応言語:警戒心
内容:仕事…上司への対応に自分の時間がとられ仕事が進まない。
調整後:陰性化
目安検査の再評価結果:サックスの演奏(陰性)、拇指と薬指のOリング(陰性)

 
 
考察:
楽器演奏において患者曰く、自分は天才肌ではなく努力でここまで来たので、努力を怠ることへの恐怖心などを常にもっていたとのことです。
故に、休みの日も含め毎日練習をしなければいけないと、自分自身にプレッシャーをかけていました。
その結果、イップス発症後もそれを克服するため、さらなる努力や練習が必要だと自分を追い込んだのです。
初回の目安検査で、前腕筋群や手掌部の筋群の緊張が強く、触診において圧痛もありました。
施術を重ねるごとにこれら筋群の過緊張や圧痛が軽減し、患者自身も術前術後の変化を実感したことが、その後の信頼構築につながったと思うと、あらためて目安検査の重要性を再確認した次第です。
更にPCRTの施術により、心と体の相関関係を患者自身が実感するようになり、今まで自分を追い込み過ぎていたこと、力み過ぎていたことへの気づきがあったようです。
その後は、患者自身が楽器の練習時間を減らし、演奏中も力を抜くほうに意識を向けるように変化していきました。