慢性症状の改善
痛みなどの症状は程度にもよりますが、通常2週間程度で自然緩解します。それ以上同じ症状が継続する場合は慢性症状といわれています。PCRTの研究は、特に繰り返される慢性症状に注目し、長年、臨床研究を積み重ねてきました。PCRTでは「慢性」=「クセ」=「学習記憶」という概念で慢性症状を改善していきます。
同じ慢性症状でも、治り方のタイプは様々です。大きく分けると3つのタイプに分類されます。
PCRTの症例では、数か月から数年もの長い間抱えていた痛みなどの症状が改善された症例がたくさんあります。それらの患者様の多くは、単に肉体面だけでなく、肉体面と「脳=無意識」、すなわち「深い心との関係性」による誤作動に関係している場合がほとんどです。慢性化を繰り返すということは、脳の中で症状が継続するようにプログラム化された結果、すなわち、無意識的に脳に学習記憶された結果であるとPCRTでは考えています。脳に学習記憶された誤作動パターンを消去法のように消していくことで、慢性症状が徐々に改善されていきます。
PCRTで治療を継続される患者様の中で、慢性症状が一旦改善されて、しばらくして再発を繰り返すタイプの方がいます。同じ症状をぶり返す期間は様々ですが、ほとんどの症例においてぶり返す「原因パターン」があります。その原因パターンは「短期的な脳の学習記憶」である場合と、過去に記憶化された「長期的な脳の学習記憶」による誤作動である場合があります。いずれにせよ、PCRTの治療によって誤作動の学習記憶を書き換えることで、症状が改善されていきます。
PCRTの治療では、多くの症例で、検査による陽性反応が消失することで、患者様の自覚症状も消失します。しかしながら、検査による陽性反応が消失しているにも関わらず、自覚症状を訴える患者さんがまれにいます。これは、どんな治療をしても常に治らないというタイプの人で、治療を受けても長期的に症状が改善されなかったなどで、経験的に自分は治らない人であるかのごとくと脳にレッテル貼りをしてしまっている「エピソード記憶」による場合と、他者などからの医学的情報で、自分の症状は○○だから治らないという「意味記憶」によって、治らないための理屈を学習記憶して改善を制限している場合があります。
これは単に「気のせい」とかの問題ではなく、脳科学的にいわれている「記憶」による問題で、患部からの信号で症状を感じるのではなく、脳内で症状を感じる神経回路が構築された結果であるといえます。この場合、患者様自身もご自分の慢性症状が脳で創られた誤作動の神経回路によるものであると理解した上で、PCRTによる「エピソード記憶」と「意味記憶」の治療を行うことで改善されます。このとき、まずは自分自身の身体や脳が、本来、治る力を持っているということを信じられるということがとても重要です。